一般社団法人豊川青年会議所 2024年度理事長所信

理事長 岩瀬 崇典

【はじめに】

豊川に生まれ育ち、豊川を離れても、今はまた豊川にいる。
豊川を離れたことで、より豊川のことを知ろうと強く思った。
そして、豊川は素晴らしい場所だと外から見て初めて気づかされた。

これは、まさに自分の体験したことです。

私は豊川で生まれ育ちましたが、成長するにつれて豊川に背を向けるようになっていきました。いつか豊川から離れたいという思いで過ごし、正直に言えば早くここから出て行きたいと思っていました。
学生時代、豊川を離れて過ごしましたが、友人から「豊川ってどんなところ?」と聞かれたとき、自信を持って答えられませんでした。同様に海外に行ったときも同じ質問をされ、過ごしてきた場所について何も説明できないことに気がつき、恥ずかしさを感じるようになりました。こうした経験から、豊川を知ろうと思い、豊川の素晴らしさに気づくようになりました。人は気がついたときに大きく変わることができると実感しました。

私は2012年に入会をし、本年度で13年目になります。先輩諸兄姉を後ろから見ることが多かった日々でしたが、今は後輩たちに背中を見せる時です。最近は入会してから卒業するまでの期間が短く、長い時間をかけて継承していくことが難しい状況です。そのため、残していくものは想いを込めた「しくみ」となります。「しくみ」は単純に増やして複雑にすることは簡単ですが、重要でない要素を探し取り除き、必要最低限のものにすることが大切であり、とても価値あることだと考えます。つまり、「しんぷる」を目指していくことが必要です。
「しんぷる」にすることは非常に難しく、相手に伝わって初めて「しんぷる」となります。相手のことも考えながら「しくみ」も「しんぷる」にしていくことは、人と人の歩調を合わせ共に形を作る必要があります。
考え抜かれた「しんぷる」は美しく、価値あるものであり、目指していかなければなりません。

【人財交流】

~会員交流~
新型コロナウィルス感染症という急激な社会変化を乗り越えて、再び新たな生活様式に移り変わってきました。昔のように積極的に参加することが少ない現状を打破するためには、無理に新しく集まる場を作るのではなく、現状の青年会議所のしくみを利用して会員同士が交流を図ることが重要になってきます。
京都会議、名古屋会議、全国大会など、会員が交流しやすい環境を整えます。
豊川青年会議所に所属している会員も、十人いれば十人異なります。その異なる部分を理解し合い認め、お互いに高め合うことができれば今後より大きな力を生み出すことができます。お互いの価値を引き出し、参加したくなる交流を目指します。

~国際交流~
「青年会議所が、若きリーダーの国際的ネットワークを先導する組織となる」
JCI VISIONでも名言されているように、国際的な視点で考え取り組む必要があります。
姉妹青年会議所である大墩青年会議所との交流も深め、国際アカデミーへ積極的な参画・参加を促していき、新たなJCI TOYOKAWAへ成長する礎を作ります。

~広報~
広報の役割として、青年会議所だけの満足で終えるのではなく、地域へ共有化するしくみを進めていきます。昨今ではSNSの急速な発達により、チラシを配る意義も考え直す必要があります。チラシにとって代わるSNS活用を目指します。
豊川青年会議所の活動を広く知ってもらうために、広報の力を活かして事業の集客を強化していきます。

【渉外、記念誌】

豊川青年会議所の存在価値について、改めて考える必要があります。私たちは他の団体ではできないことを成し遂げていく必要があり、豊川青年会議所は周りから見たときに輝いている必要があります。
輝くためには、一人の力だけでは成し遂げることはできず、今まで積み重ねてきた信頼を大切にして、多くの人をつなぐことで輝きを増します。私たちは記念誌を通じて65周年という歴史を過去から現在、そして後世へつなぐ役割も担っています。
豊川青年会議所が、渉外、記念誌を通じて皆が目指すべき模範となれるようにしていきます。

【65周年を迎えて】

豊川青年会議所は、本年で65周年を迎えます。毎年の点と点とがつながり線となり、形となって今に至ります。諸先輩兄姉の想いが積み重なり今を迎えていることに感謝をしながら、過去にどのような歴史があり、今という時を経て、どんな未来にしていくのか、これから先、豊川青年会議所がどうあると良いのかを共有していきます。65周年という歴史の中から学び、今を生き、未来へつなげていきます。

豊川青年会議所は、すでに65年にわたり継続して活動してきました。その影響は、関係する人々だけに限らず、世代を越えて広がっています。世代を越えて広がっていますが、世代間での隔たりを感じるのも事実です。私たちは、豊川青年会議所を中心にし、さまざまな世代間での交流が可能な環境を作り上げていきます。異なる世代間、価値観を持つ人々との交流を通じて、新たな気づきを得ることができ、自身の成長や地域の発展にもつなげていきます。世代を越えて認め合い、よりよい豊川に向かう行動をしていきます。

【豊川の誇り】

豊川は多様な歴史を持ち、活躍するモノやコトがありますが、豊川市民自身の注目が不足しています。今こそ、豊川の誇りを再び見出し価値を付け、未来へ向け希望を抱き、新たな視点で捉えていく必要があります。この地域が培ってきた歴史的な背景や文化的な価値を活かし、未開拓の可能性を探求していきます。豊川の魅力や特徴を豊川市民へ広く知らせ、その輝かしい過去から導き出される価値を、未来の繁栄へとつなげていきます。誇りと自信を持って、新たな展望を持ち続け、この地域の独自性を見える形で示していきます。

【豊川ビジョン策定】

豊川青年会議所は、65周年を迎えるにあたり、未来に向けたビジョンの策定を行い、豊川市に提案していくことを目指しています。私たちはステークホルダーと、豊川市の10年後の姿を描きます。持続可能な発展や地域の活性化、文化の振興など、様々な分野での成長を目指します。豊川の魅力をさらに高め、地域の課題を見えるようにして取り組んでいきます。市民の皆様との協力や連携を大切にし、共に希望ある未来を築いていきます。豊川市がどんな素晴らしい未来を迎えるのか、ワクワクしながら未来の豊川を夢見て取り組みます。

【組織管理・危機管理】

青年会議所は、毎年新しい組織で運動が行われます。近年は長い年数在籍している会員は少なく、在籍年数が少ない会員が多くなってきているため、人を通じての伝承が難しくなってきており、しくみ化が重要となります。運動を素早く行うために、会員の世代での考え方や環境を軸として、組織の在り方を見直す必要があります。また、各地域で線状降水帯による災害が発生し、大きな被害をもたらしており、豊川青年会議所がどのように対応できるのかという役割も見直す必要があります。組織管理や危機管理に対して、予測不可能な出来事が起こる現状では、未然に防ぐことは困難です。重要なのは、実際の現場を想定し、柔軟に対応できる技術を身につけ、円滑に動けるしくみを作ることです。未来を見据えて考え、対処方法とその後の対応策を準備する必要があります。豊川青年会議所としての管理指針を見直していきます。

【新入会員】

新しい仲間を巻き込んで豊川青年会議所の良さを共有できるように取り組みます。
迎え入れる際には、その人の独自の価値観や才能を尊重し、輝く場を提供することが必要です。新入会員個々の成長を支援し、リーダーシップのスキルや人間関係の構築力を磨く機会を提供します。さらに、新入会員に豊川青年会議所が多様な事業を通じて、国際社会・地域社会との結びつきを強めていることを理解してもらう必要があります。
新しい仲間が加わることで、より多様性と創造性が生まれ、共に豊川の未来を築いていくことを目指します。

【事務局・運営】

効果的な会の運営は、現行のしくみに従い、円滑に進めるための準備が欠かせません。総務・財務・会務の役割は不可欠であり、事前にどれだけ進められるかが非常に重要です。また、全体を見渡し、先々を見越して行動していくことが求められます。
縁の下の力持ちのごとく土台となって全体を支えていく役割があり、現行のルールで円滑に回っているかの確認もしていく必要があります。円滑でない場合、何が問題であったのか考え、現行のしくみに問題があれば、組織管理・危機管理と共に改良を行い、より効果的な運動が行えるように運営をしていきます。

【むすびに】

私は学生時代に「オーストラリア留学」の経験をしました。留学中には様々な国から来る人の様々な考え方に触れることができ、それによって自分自身の考え方も広がりました。また、豊川青年会議所(当時穂の国青年会議所)へ入会直前に「とうかい号」へ乗船しました。短い期間でも、チームと濃密な時間を過ごすことでかけがえのない特別な関係を築くことができました。

そして、昨年、国際アカデミーの国内デリゲイツとして参加をしました。このプログラムでは、各国の青年会議所の代表(翌年のトップになる予定の人)が日本に集まり、国際レベルで活躍するためのリーダーとしてのトレーニングを行います。この経験はまさに「オーストラリア留学」と「とうかい号」の経験全てが結びついて一本の線になった気がしました。人類の同胞愛は国家による統治を超越することを実体感しました。
国際アカデミーを卒業し、Global Networkerとなった今、国際的ネットワークを先導していく必要があります。線となった今、形を作って魅せていきます。

どんなことも難しく考える必要はないと思っています。答えは「しんぷる」なものです。
ただし、その「しんぷる」な答えにたどり着くためには複雑さを通過していく努力が必要です。さまざまな情報を取り入れ、吸収し、自分自身の核として取り込みながら、余分なものを削ぎ落としていくことで「しんぷる」が出来上がっていきます。

「しんぷる」を研ぎ澄まし、変革の起点となる新しいリーダーとなる。
まさに、新しく人々を導く「新PULL」なリーダーを目指すために一歩を踏み出そう。
豊川青年会議所、JCI TOYOKAWAは、その一歩を尊重し続ける団体となります。